2mの葉をつけ、トゲがある まさに鬼蓮(オニバス)
福島潟はオニバスが自生する日本の北限です。
福島潟に生息する希少植物・オニバス
オニバス(スイレン科)は、日本の水生植物の中で一番大きな約2mの葉をつける一年草です。現在全国で70カ所程度しか生息が確認されない希少な植物であり、福島潟が日本の自生の北限です。
かつての福島潟は、舟の通行に支障をきたすほど湖面にオニバスの葉が広がっていました。しかし、その後の干拓事業や環境の変化により激減し、昭和40年代には姿を消しました。旧豊栄市(現新潟市)では、昭和63年に再発見されたオニバスの保護増殖活動に取り組んでおり、今では毎年順調に可憐な花を見ることができます。
市民のみなさんが間引いた葉で草木染めをしたり、地元の小学校が学校内にオニバス池を作り観察するなど、大きな葉と小さな花がまちづくりに大きな役割を果たしています。
ドンバス
地元では、オニバスのことをドンバスと呼び、茎や種子を食すなど人々の生活と共にありました。現在はオニバスから自然の大切さを教えてもらっています。花の色や葉の大きさなど、まだまだ解明する点が多くありロマンのある植物ともいえます。
水の駅「ビュー福島潟」では、オオヒシクイとともにオニバスをメイン展示し、年間を通し、鮮やかな花の色や葉や茎の棘を実感することができます。
オニバスの成育観察
種子は堅く、大きさは6~12mm位です。発芽までに休眠期間があり、発芽条件に合ったものだけが発芽するようです。最も長い休眠期間として約50年もの間、休眠していたものがあったそうです。翌春に発芽させるための種子は、水中で保存して越冬させます。
発芽~水中葉の形成
はじめは針状の芽が出ます。
芽が出てから少し経つと種子から少し離れたところから根が伸び、土の中に入ります。
第2、第3番目の葉は、矢じり状ですが、この葉は水面に出ません。
4番目以降の葉は、たて状で水面に浮かびます。それ以降に次々に新しい葉が出て、次第に円形となります。この本葉には、無数の鋭い棘があります。
オニバスの葉の展開
本葉は、丸く縮んだ状態で水面に現れます。
2~3日かけて徐々に展開します。
花の咲く時期には、一株に7~10枚の葉があります。